命がけでパンを焼く
こちらに移り住んだ日本人の多くが、家の中で一番こだわるのはどこでしょうか。
おそらく、オフロ。バスタブあるなしで揉めるご家庭は多いと聞きます。
もちろん私もオフロにはこだわりがありましたが、もっとも、今関心が高いのは、
トースターです。
家具付きの私たちのアパートには(ありがたいことですが)トースターが備品として準備されていました。
でも...
こちらで主流の、上記のようなタイプなのです。
聞いたところによると、日本型のものを販売しているお店もあるそうですが、あっても1,2種類だとか。
このトースター、カリッと焼けて良いのですが、難点があります。
第一に、トーストしか入らない(丸いパンなどは、オーブンかフライパンで)
第二に、ちょっと危ない
本体の下部に2つのボタンがあり、左は、reheat 右は、refrozen とあります。
我が家ではトーストを買うと、だいたい翌日には冷凍庫に入れてしまいます。
ですので、もっぱら使うのはrefrozen です。
でもですね、これが1回では焼けず、2回焼きが必要なのです。
しかも、2回目は、6割の所でスイッチを切らないと、焦げて、もうもうと煙が上がる始末。
多分、使い方に誤りがあるのだと思うのですが、今の所、この方法で使いこなしています。
写真でもわかるように、隙間が空いているので、焼いている間にうっかり何か入り込んだら、大変なことになります。
機械自体もとっても熱くなっていますし。
おそらく、これは「買い替え」しかないと思うのですが、最近「あるもので暮らす」ブームなので、もうちょっと頑張って、注意しながらお付き合いしたいと思います。
さて、オーストラリアでトーストと言えば...
「ベジマイト」です!
日本でもお馴染みなので、知っている方も多いかと思いますが、私はこちらに来て初めて食しました。
銀行に口座を開きに行ったら、スタッフのおねえさんが、ブリスベン引越しと口座開設の記念に、とオフィスの奥からゴソゴソと出してきて、プレゼントしてくれたのです。
これが彼女のものなのか、会社のものなのか、たまたまあったのかわかりませんが、ありがたくいただいてきました。
味は、なんだかよく分からないというのが正直な所です。
納豆や発酵食品のように強烈なにおいでダメというわけでもなく、味は確かにするけど、何とも似ていなくて表現できないのです。
それよりも、現地の方たちがベジマイトの話しをする時に、やたら嬉しそうにするその顔の方が印象的です。
「うすーく塗るのよ。うっすーくね。トーストはカリカリに焼いて。なんならアヴォカドスライスやキュウリをのっけてもいいわ。でも、うすーく塗るのよ(ニヤッ)」
何人かに聞きましたが、みんなそのような感じなのです。
私は、おねえさんのいうことを聞いて、薄く塗ったから正解だったのかもしれません。
分厚く塗っていたら、なんだこれ!となっていたのかも。
そう言えば、先月、俳優のトム・ハンクス氏が新型コロナウィルスの治療でゴールドコーストの病院に入院していた際に、ベジマイトを分厚くトーストに塗った写真をInstagramにポストしていて、大変話題になっていました。
話題の意味が、「あのトムが」というより、「分厚く塗ってる」というところに重きが置かれていたのが面白かったです。
国営放送の朝のニュースにもなっていたほどでした。
そのようなこともあり、私の中では、「ベジマイトがオーストラリアの国民食」という点より、「オーストラリア人の食べ方の説明がみんな同じ」ということの方が気になります。
そして、それほど美味しくない(と感じているようなのに)のに、なぜ食べるんだろう、と未だに不思議に思っています。
5月4日 わが家の台所に片隅に、ほぼ丸々残っているベジマイト